高校二年生になる鞠毛は自分の名前が嫌いだ。でもその不満を誰にも話したことはない。父の急な再婚で、血の繋がらない母の涼花と認知症の祖母、和(かず)と暮らしはじめた。人付き合いが苦手な鞠毛は、新しい家族とどう接していいのかわからないでいた。その矢先、父が理由も言わずに家からいなくなってしまう。それを知った同級生の篤人は「すごい事件だ」と小説のネタにさせて欲しいと言ってきた。父がいなくなることはいつものことなのに……。そう言っても聞き入れてもらえず、父について調べることになり、自分の気持ちとも向き合うことになる。そんなとき、和(かず)が涼花について「あいつは人殺しだ!」と暴れ出し、鞠毛は父がいなくなった原因も涼花にあるのではないかと思うようになっていく――。