#家族 の作品

月に凪ぐ海
 これは、大人と子供の狭間でもがく、十代の少年少女たちの物語。  舞台は、山脈で大国から切り離されるように存在する草原地帯と砂漠地帯。そこには遊牧民族であるアオルス族を中心とした、遊牧民と農耕民の集合体アオルス大連合が存在する。  アオルス族の少女パンイェは、「賢才」「無敗将軍」の異名をもつ歳の離れた武将の姉がいるが、戦のことばかりで家族との関わりが薄い姉と心の距離が取れずにいる。神話の時代にアオルス族と袂をわかったサルマト族の少年ウーは、パンイェへの恋心を抱くのに、それが素直に表現できない。 パンイェと同じアオルス族であり少年兵の小隊長を務めるツァガンは、年長者としての責任に押しつぶされそうになりながら穏やかにふるまい続ける。そんなツァガンとなぜかしっくりいってるランナル族のチム。彼は一夫多妻制社会の出身ゆえ、家族や人間関係を疎ましいと感じながら、なぜか仲間の面倒をみてしまう自分にモヤモヤする。 そんな四人は、少年騎兵隊の隊員として、アオルス大連合と同盟を組むタザシャール王国の祝賀行進の末席に同行する。祝賀行進は、アオルス族長の弟グトゥが連合の盟主代理として代表を務めるものであった。 祝賀の隊列が到着して祝賀会が始まると、タザシャール王国では反乱が起こる。末席で同行した一般兵や少年兵たちは、事態の詳細を知らされないまま王国からの脱出を命じられる。ツァガンを班長とするパンイェの班は脱出の際、幼いタザシャール人のカマニを救出した。 自分たちで動物を狩って屠り食事をする少年兵たちと、カマニは見た目もふるまいも違っていた。そんなカマニに四人は戸惑いも覚えるが、旅の中でカマニは大切な友人へと変わっていく。  カマニを連れてアオルス連合の本営をめざす一行の前に、パンイェの姉イェンシーとその部下が追手として出現した。年少のパンイェとウーは、自分たちが逃亡兵であるという事実や理不尽な部族の規律に大きな不安を感じ始める。一方で年長のツァガン達は、そもそもそれを生み出す戦争に対して、嫌悪感にも似た違和感を持ち始めていた。
アイデンティティは死んでいく
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概要:いじめをきっかけに引きこもりになった今宮戒斗は、家族とも上手くいかず、通院先の主治医にも本音を話せず、孤独に耐える辛い心の内を『カイト』と名乗ってブログで吐き出しながら生きていた。  そんなある日。カイト宛てに『ユウト』と名乗る人物から一件のコメントが届く。  一方のユウトは、自身の願いを叶える為に戒斗とコンタクトを取っていた。ユウトとしてカイトと接触する悠斗だが、彼には大きな秘密があった。  また、戒斗の友人である高遠絵美は、同級生の些細な一言がきっかけで拒食症となり、自傷行為の末に入退院を繰り返していた。家族関係にも悩み、辛い現実から目を背けながら生きる毎日。  そんな彼女は、理想の自分である『幸子』という偽名を使って、ありもしない日常をブログに綴ることで心のバランスを保っていた。  各々が秘密を抱えながらも怠惰に生きる日々。しかし、些細なことがきっかけとなり、三人の秘密が交錯する。  そして、周囲の人間を巻き込みながらそれぞれの秘密と本心が暴かれるとき、人生の再生と希望への道筋が見え始める。  これは、三人の人間が懸命に藻掻き、苦しみながらも手にした、生きた証の一つである。 PR:誰もが普通を求め、普通であることに固執する社会。理不尽、悪意のない一言。些末なことから人は枠組みの外へ弾き出されてしまう。  そして苦悩し、答えを導き出す。たとえそれが間違っていようとも、当事者にとって最善だったとしたら?  この作品は何処にでもあり、誰にでも起こりうる過程と人生を描き、その結末さえも重くのしかかるものだが、登場人物たちの心情と環境と答えの痛みを共有し、自分や周囲の人たちとの関係を見つめるきっかけになる作品です。 キャッチコピー:遅効性の秘密を抱いて生きる。