#恋愛 の作品

ゆりかごのうさぎたち
ゆりかごという孤児院しかない断崖島でナナは育った。ここには約百三十人の子どもと、先生などの管理者しか人はいなくて、あとは放し飼いにされたたくさんのうさぎだけ。子どもたちは共同生活を営み、学び、そしてうさぎへ餌をまく。七歳になるとうさぎを捕獲し屠殺する。そうして子どもたちはいのちを学ぶ。 そんな奇妙な授業を受ける子どもたちは、各々が個別のタイミングで通知を受け、陸へ出てゆき、〝新しい生活〟を送る。それまではゆりかごで暮らし、勉学に励み、いずれは下の子たちの世話や勉強をみてやったり、調理の補助に就いたり、絵が上手な子にかんしては才能を磨いたり……ひとりひとり個性に見合った役割が与えられ、穏やかな日々を過ごしてゆく。十七歳のナナはそのひとりで、彼女は幼児たちのお世話係に就く。 ある日、同い年のルームメイトであるマリアに通知が来た。彼女は七日後にゆりかごを出てゆく。子どもたちは陸について何も知らないが、強い憧れをいだいていた。マリアも例外ではない。ナナはそんなマリアを見るのが嫌だった。うらやましいわけじゃない。ナナだけは陸での〝新しい生活〟に不安をいだいていた。はっきりとした理由はないが、心がもやもやとうずくのだ。 (この先、通知が来たとき、わたしはマリアみたいに喜べない……) 隔離・監視・管理された孤島。うさぎを用いた生死の学習。知らされない謎多き陸と〝新しい生活〟。異質な環境で暮らす子どもたちは、それぞれ夢を描いたり、恋をしたり、未来をキラキラした目で見つめて幸せに暮らしていますが、物語が進むにつれてナナが抱える心の【もやもや(真実)】が少しずつ明かされてゆきます。切ないSFヒューマンドラマです。
三海 雨三
2021/07/26 14:33
SF
連載中 / 全31話
清楚といわれて
 恋愛経験の乏しい真面目な女が既婚の一回り年上の男性に本気の恋心を抱き、自ら交際に発展させる。その交際を機に女は濡れるほど感じるキスを経験し、自分の性に目覚める。だが女は苦悩の末、男は一人だけではないことに気づき、一歩前へ進んでいくことになる。  伊藤紗代はインターンシップを経験した企業に入社し、佐伯悠と同じ情報分析部門に配属になる。佐伯と再会した紗代はインターンシップ時代に感じた佐伯の「色気」を思い出し、佐伯に接近していく。恋愛経験に乏しい紗代にとって佐伯という男は居心地が好く、自身の性が目覚めていくような感覚になり、佐伯の色気に惹かれていく。紗代は佐伯と交際するうちに自分の中の女の性を開花させ、佐伯によって濡れるほど感じるキスを経験し、自己の性に気づく。  一方、情報分析部門ではスマートなリーダーとして有頂天だった佐伯だったが、後輩社員による陥れで失脚し、閑職部門へと異動になってしまう。閑職へ追いやられ、疲弊した佐伯にとって紗代の想いは大きな負担となり、やがて紗代は佐伯に別れを告げられる。自身の思いが届かないと知った紗代は、やっと佐伯との別れを決意し、佐伯の「色気」から離れ、自分の世界で前へ進む決意をする。 (※『清らかな流れの後に』の裏ストーリー)
雫石つみき
2021/07/24 08:03
純文学
完結済み / 全10話
ハッピー・レクイエム
「わたしはかれを殺し、かれはわたしを救う。これより半年後のことだ」  残酷な神は、命を与え、命を奪う――人間などにはできない手腕で。 「いい人生だったよ。初めから知らなかったら惜しむこともなかったのにさ」  19歳女子大生・朝野聖子の神はすでに死んだも同然であった。それは聖子自身にとっても同じく、自らの死も目前かと自覚していた。高校時代、父親が会社帰りの列車内で亡くなり、鉄道会社に巨額の賠償金の支払いを命じられた時もそうだった。  それまで目指していた法曹界に嫌気が差し、理転して合格した工学部でヒトクローンを造り、聖書と異なる現実を神に突きつけようと(もしくはそのことで天の裁きによって絶命することすらも期待し)目論んだ時もそうだった。  恋人の死の間際、うつ状態になってからでさえ(むしろ精神を失調してからの方が強いかもしれないが)、自らの死期が早まることを期待し続けた。  救済などありはしない。機械的に生まれ、機械的に消えるだけの感動も意味もない人生を手際よく終わらせることが唯一、自由意思に基づいた、聖子自らへの保釈だった。 「ハッピー・〇〇〇〇〇」 「          」
煙突
2021/07/23 00:28
ヒューマンドラマ
連載中 / 全81話