盲目の女性、円佳は、リハビリの散歩中に歩道橋を利用していた。 　ある日の散歩中、歩道橋の上で欄干に足をかける音を聞く。 　歩道橋から飛び降りようとした少女の手首を掴み、自殺を阻止した円佳は、少女の話し相手に乗る。 　素性を話したがらない少女は、自分の名をリストと名乗る。 　自虐的に名乗るリスト。 　その自虐の訳が、掴んだ手首無数に刻まれた傷にあると、円佳は気が付いていた。

ずっと昔に書いた家族をテーマにする小説です。長い話を四分割してあります。作者自身の家族を投影した作品になっております、家族っていうのは難しいものですね、色々な人がいて、なぜ家族として生まれてきたのか、今でも考えさせられます。別にこれといって意味はないのですが、「聖母」というのはひっくり返せば「母性」なんですね、今ごろ気づきました。

四年前の夏、季節はずれの雪が降った。 雪だと思っていたものは、危険な化学製品の粒子で、不運にも触れてしまった璃子は、新種の難病『雪花病（せっかびょう）』を発症した。 治療法は確立されておらず、死と隣り合わせの毎日を送る中で、ある日突然、璃子に『私たちの心残りを一緒に叶えに行ってほしい』と頼まれた。 それはＡさん（匿名希望）からの依頼であり、璃子自身は、心残りの内容を把握していないとのことだった。 Ａさんに示された場所に行くと、そこには不思議な光があり、触れた瞬間、僕たちは〝心残り〟のある日に戻っていた。 心残りをひとつ叶えていくたび、タイムリープに隠された切ない秘密が明らかになっていく──。 表紙イラストは『三日月アルペジオ様』のフリー素材をお借りしました。

家庭環境により声を失っていた高校二年生の文月コウタ。ある日、クラスの中心人物である花咲ユウに、“文化祭で弾き語りをしたいから練習を側で聞いていてほしい“と頼まれる。なぜ声が出ない自分を誘うのかとコウタは疑問に思いながらも、天真爛漫なユウの性格に惹かれていく。 文化祭準備期間を通じて二人は距離を縮めていくも、次第にユウが自分と同じ深い悩みを抱えていることにコウタは気付く。何か力になれることはないかと探っているうちにコウタは自分の声を取り戻し、ユウの弾き語りが最高の瞬間となるように協力したことで、ユウの悩みは解決できたと話を結んだ。 しかし休み明けにユウが突然転校してしまう。残された手紙にはこれまでの感謝の気持ちと三年後に再会しようと約束が結ばれていた。三年後、コウタはユウと再会する。そこには声を失っていた別人のようなユウがいて……。 他人の理想と期待を演じ続けた二人が、本当の自分を探して強く生きた物語――。 〇ヒロインモデル：蒼波ユウ(現：ミツキ ユウ) 様 (ライブアイドルさん/モデル許可承諾済) ※物語世界観を創造するうえでのモデルであり、ストーリーは完全一次創作のフィクションです。 〇表紙イラスト:ほの 様 (ココナラ依頼/表紙使用許可・コンテスト応募許可承諾済) (全69話・199,941字)

－二人で行こうよ……海が見渡せる、あの灯台に。僕達の海のあの煌めきを、美咲にも見せたい－ 　果たされることのない約束は、時を経るにつれて、私の心を蝕んでゆく。

ある年の冬に青年は、家を飛びだした。憂鬱な学校生活に信じきれない人間関係。雪原を快走する夜行列車「銀河」に少年は乗り、自分の生き場所を求めた。彼は何を得るのだろうか？そして彼は何を思うだろうか？ 青年から大人へとなっていく主人公　実(みのる）の成長と苦悩を中心に描写したストーリー。 作者初の本格長編（予定）。

毎日をただ消化していく俊太。 かつて充実していた日々も今となっては過去のもの。 停滞している事への自覚はあるものの、何も出来ずにいた。 そんな夏のある夜出会った一人の女性。 彼女が俊太に与える影響とは…。

わたしの望みは叶わないと知っている。それでも願いを捨てられないーーー 叶うことのない願いを抱く主人公は、時々ひどく沈み込む。叶わないという現実に落ち込んでしまう。彼女の夫はそんな時、些細なことで彼女の気を楽にしてくれる。落ち込むとまるで上手くいかない主人公はそんな夫が寄り添ってくれるからこそ、願いを諦めることができない。

「生きて」ーー。 冷たい病室の空気に溶けた彼女の言葉を、僕ーー【音尾　奏】は忘れない。 武道館コンサートに並ぶ程の音楽家の誉れ、【シオン劇場リサイタル】。 其れを齢26にして成し遂げた天才ピアニストの音尾は、その巨大なステージの上で遥か昔の思い出を思い出していた。 十年前の甘く切ない、彼女との思い出を。

星賀勇一郎　短編小説 あの日、助ける事が出来なかった小さな命。その命は僕たちの中で生き続けている 私は久しぶりに故郷の地を踏んだ その忘れていた風景を見ていると、此処に何を見に来たのか忘れてしまった 私は、此処に何を見に来たのだろうか…

母を病気で亡くした翔のもとに仮面をつけた怪しい男が現れる。彼の名はエリー。エリーが徐に取り出したのは、見た目は何の変哲もないノートだった。しかし、彼曰く、そのノートに書いたメッセージは生前の母に届くという。 これは時を超えた約束の物語。

犬が出てくる中編小説です。 思い入れのある作品です。 どうぞ宜しくお願いします。

　この世界には２種類の種族がいる。お腹から生まれた「人間」と呼ばれる者たちと、試験管から生まれる「人型」と呼ばれる者たちだ。 　手首のバーコードは「人間」ではない証。 　彼ら「人型」は何らかの目的のために生み出され、目的のために散っていく。 　私の名前は「れい」。年の頃は30手前の女性の人型で、人間の青年「いち」の恋人係として出荷された。 　試験管で作られた私達には感情がないとされる。でも、「人型」の中でもとりわけ感受性の強い私は、「いち」の事を愛してしまった。 　優しくて、純粋で、情熱的で、愛しい「いち」。彼は、ある一人の少女を救うために、命を落としそうになる。 　そんな「いち」を助けるために、すべてを投げ出して私は一度死んだ。 　全ての記憶を失って私は、私でなくなった。 　リセットされてしまった私は、再度、「いち」の元へ出荷されて……。 　このタイトルの意味を知った読者はきっと、涙する。美しく切ないSF純愛ストーリーを贈ります。

【あらすじ】 将来、北朝鮮が核兵器を保有し、安全保障上の脅威になった時を想定して、アメリカはＣＩＡと日本政府との画策で、あるミッションを極秘に遂行していた。それは、孤児であった留美を偽装の家族のもとで殺人兵器アリスとして教育し、計画的に拉致を装い北朝鮮に送り込むことであった。それから三十数年後、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射したことを機に、急遽、過去の遺物となっていたこのミッションが起動することになった。拉致される日の朝、勿忘草を写真で撮った時に写り込んだ留美自身の影、異国の地で予期せぬ運命に翻弄されながらも、唯一留美として祖国日本に残されたその影は、果たして何を思い、何を語ろうとしていたのか。（長編連載）

【ひたむきさは報われますか】 巣作りで森の命を育む働き者のビーバーと、これといって役割の無いクマの交流。ひたむきさと自己犠牲、報われるべき仕事とは何かを問う童話。 Twitter企画タグ：#kind_キント（主催：livreさん　@livrebouqin） 企画概要：作者は【善い子に贈り物を与えるクリストキント 】か【悪い子に罰を与えるループレヒト】を選び本編を執筆。主催は本編を受けて【贈り物または罰を与えられた子供】を描く。 （https://twitter.com/livrebouqin/status/1342688705635487745?s=20） この作品はクリストキントを選択しています。 ※この作品はTwitter(@ojitw)・カクヨム・小説家になろう・エブリスタ・pixiv等に掲載しています。

【今年の六神ゼミは異端児ばかり】 人妻と不倫するミステリアスな青年〈翔〉。「可愛い」に呪われた女の子〈香奈緒〉。まわりに合わせてばかりの根暗女子〈美緒里〉。落ちぶれた元秀才〈大弥〉。そして余命半年の大学教授〈六神〉。 それぞれ心に葛藤を抱えながら、勇気を振り絞り明日への一歩を踏み出していく――。 六神ゼミに所属する個々の視点から描いた、連作短編小説。

「情熱だけは負けません！」 桜木夢。彼女は中学生の時ある先輩に一目惚れし、放送部の名門である白都女子学院高等学校へ入学する。 しかし、そこで待っていたのは周囲との圧倒的な実力の差＿＿ 放送が大好き、その思いを胸に突っ走る一人の少女の物語。

それは「彼女」にとって、突然の夫の死だった。まだ若い二人の夫婦の生活は夫の事故死で早くも終わってしまった。だが、彼女にはどうしてか涙がわいて出てこなかった。何故なら夫の死の当時、夫は多大な債務を背負っており、その借金の返済の為に四苦八苦している状況だったので、彼女の心情としては夫の死によって入った生命保険の支払いと、何とか家を抵当に入れる事によって借金が返せたから。そのような事情もあり、彼女は悲しみと安堵の複雑な思いを抱き葛藤する。本当に私は夫を愛していたのか？　と。 　そんな募る思いを彼女がしている日々、死んだ夫からワインの彼女への誕生日プレゼントが届く。夫が事故死したのは彼女の誕生日の近づいていた日。つまり、送り届けられたワインは夫の死とは時間差した置き土産の贈り物だった。 彼女はそのプレゼントを受け取ると、生前、ワイン好きの夫が、この部屋には入らないでくれ、と言われてきたワイン・セラーの部屋に、ふと入ってみようと考えた。

桜前線の一報とともに飛び込む訃報。 思い、春、巡る。

途方にくれた私に差し出された掌。 その人は、私に私を教えてくれた。