ある日の晩。一人の赤子が捨てられ、一匹の狐が人間に襲われた。
一人と一匹の赤子を拾い、育てることとなったのは、山の神である千年大樹や、聖なる山の住民である鬼や獣たちだった。
木之子と木守と名付けられた一人と一匹はすくすくと育ち、山を駆け巡るようになる。
好奇心いっぱいの木之子は、山を駆け巡るうちに、山の外の世界を知りたがるようになってしまった。
「山から出てはいけない」
そんな母の教えを破り、木之子は山を降り、橋を渡って人里に出てしまう。そして、山に戻らない木之子を追い、木守もまた、人里に出てしまうことになる。
禁忌を犯してしまった木之子と木守は山へ戻ることはできるのだろうか。
十二歳の少女が山を駆ける、和風ファンタジー。