家族の血を辿っていくと、自分が何者なのか思い出した。
そして、それは、思い出さなければよかった、事実にたどり着く…
発覚するオヤジの事実と、それに纏わる自分自身の事実……。
年の離れた義妹との微妙な関係。
心中未遂、幼児虐待、自殺未遂、精神不安定、現代の病巣である人間と家族の重いテーマを、軽やかに描く。
オヤジの葬儀から八カ月たって、ようやくオヤジの遺体に言いたかったことがわかった。
「あんた、いったい、誰やねん……」と、ツッコミたかったのだ!
オヤジの人生は、嘘まみれだった。
あちこちに隠し子を持ち、人格の違う人生を送り、その嘘を辿っていくと、俺が生まれる前まで遡った。
オヤジの死を契機に、穏やかではなかった母方の血を辿っていく。
俺にしか奏でられない母ヘのレクイエムと、地獄に墜ちたオヤジの救出。そして、そんな家族の墓標。