#純愛 の作品

たくさんの私たちとたったひとりの父さん
私たちの父さんは、とてもきれいな容姿の持ち主です。 現在二十五歳で、オシャレなカフェにアルバイトとして勤務していますが、父さん目当てで来店なさる女性客もいらっしゃるんですよ。 でも父さんは、自分のルックスの良さを全く鼻にかけません。それどころか、とある事情で父さんは自分に自信が持てずにいます。私たちは見ていてとても歯がゆいです。私たちにできることが何もないからです。 友人でモデルのトオルさんや、バイト先の女子・新城さんなどは父さんに非常に親しく接してくれますが、そんな彼らの言葉も父さんの奥深くには届かず、密かに病院にも足を運んだりします。しかし父さんの悩みは今のところ解決していません。 そんなある日、街角で父さんはモデルのスカウトを受けます。赤石きょうこと名乗ったその中年女性は、これまで父さんが遭っていたしつこい勧誘とは違い、ただ、「きみの顔には需要がある」とだけ言って去って行きました。 そして、心療内科の非常階段でタバコを吸う謎めいたアルビノのような女性・ナギさんと出会います。 私たちはただ、父さんに幸せになって欲しいだけなんです。 だっていつか、私たちの誰かが、本当に父さんの娘か息子になるかもしれないのですから。
トップシークレット☆ ~お嬢さま会長は新米秘書に初恋をささげる~
6月某日、梅雨なのによく晴れたある日――。一人のウェディングドレス姿の花嫁が、新宿の結婚式場で式を挙げようとしていた。 彼女の名前は篠沢(しのざわ)絢乃(あやの)。19歳の若さで大財閥〈篠沢グループ〉の会長を務めている。そして、彼女が結婚する相手は桐島(きりしま)貢(みつぐ)。絢乃より8歳年上で、会長付秘書を務めている青年で、彼女の初恋の相手でもある。 彼女は控室で、桐島との出会いから結婚に至るまでの経緯を思い返していた。 二人の出会いは20ヶ月前の秋。財閥の前会長だった絢乃の父、源一の誕生日パーティーの席でだった。この時すでに体調に異常をきたしていた絢乃の父のことを心配し、病院での受診を提案したのが当時総務課の平社員だった桐島なのだ。 彼のおかげで、父が末期ガンで闘病ののち逝去するまでの3ヶ月間を有意義に過ごすことができたと、絢乃は感謝していた。 父亡きあと、遺言で会長に就任することになった絢乃は、葬儀の日に送迎を担当した桐島に「自分に会長が務まるのか」と弱音を吐く。そんな彼女を支えるべく、桐島は「自分が秘書になります」と宣言。会長選任の取締役会でひと悶着あったものの、絢乃の母で篠沢家当主の加奈子が会長代行を務めることで承認を得、無事に絢乃が会長に就任した。 会長に就任したあとの絢乃はまだ現役の高校生だったこともあり、慌ただしい二足のワラジ生活を送っていた。桐島はそんな彼女を献身的に支え、送迎まで買って出る。 絢乃はいつしか、彼の存在に安心感を抱くようになるけれど、それが何という感情からくるものなのか分からなかった。 友人の中川(なかがわ)里歩(りほ)の指摘で、絢乃は初めて知った。それが恋なのだと――。 そして、絢乃は桐島の兄・悠(ひさし)の登場により、桐島もまた、自分に対して特別な想いを抱いていることを知り――。 高校卒業後、会長職に専念することにした絢乃は、恋人となった桐島との結婚願望を抱くけれど、彼はなかなかプロポーズしてくれず――?