#群像劇 の作品

桜の朽木に虫の這うこと
「人間って、何だろう?」 十六歳の少年ウツロは、山奥の隠れ里でそんなことばかり考えていた。 彼は親に捨てられ、同じ境遇・年齢の少年アクタとともに、殺し屋・似嵐鏡月(にがらし きょうげつ)の手で育てられ、厳しくも楽しい日々を送っていた。 しかしある夜、謎の凶賊たちが里を襲い、似嵐鏡月とアクタは身を呈してウツロを逃がす。 だが彼は、この世とあの世の境に咲くという異界の支配者・魔王桜(まおうざくら)に出会い、「アルトラ」と呼ばれる異能力を植えつけられてしまう。 目を覚ましたウツロは、とある洋館風アパートの一室で、四人の少年少女と出会う。 心やさしい真田龍子(さなだ りょうこ)、気の強い星川雅(ほしかわ みやび)、気性の荒い南柾樹(みなみ まさき)、そして龍子の実弟で考え癖のある真田虎太郎(さなだ こたろう)。 彼らはみな「アルトラ使い」であり、ウツロはアルトラ使いを管理・監督する組織によって保護されていたのだ。 ウツロは彼らとの交流を通して、ときに救われ、ときに傷つき、自分の進むべき道を見出そうとする―― <作者から> この小説には表現上、必要最低限の残酷描写・暴力描写・性描写・グロテスク描写などが含まれています。 細心の注意は払いますが、当該描写に拒否感を示される方は、閲覧に際し、じゅうぶんにご留意ください。 ほかのサイトにも投稿しています。
アイドルは白い密室でユメをみる
「ずっと夢の中で謝ってたの。くーちゃん、ごめんなさい、ごめんなさいって」 「私、都のこと、怒ってないよ」 「くーちゃん、なんのこと?」  結城都は、平凡な女子高生。インフルエンサーと自分のフォロワー数の差について深刻に悩んでしまう、17歳。そんな都だが、ひょんなことからアイドル候補生として、ひと夏を過ごすことになる。彼女が参加するアイドル発掘プロジェクトの内容は、地下施設「楽園」に集った7人のアイドル候補生たちが、夏休みの一ヶ月間、24時間配信カメラの監視の下でレッスン生活を送るというものだった――  和気あいあいとした共同生活の中、立て続けに勃発する不可解な出来ごと。  次第に、疑心暗鬼に陥るアイドル候補生たちだが―― 「花火みたいに打ちあがっては、消えていく女性アイドル!」  打ち上がる前にしなびて朽ちていく名もない庶民の生き方もうつくしいが、花を咲かせる彼女らの華々しくも危うい生き方は、嫌になるほど魅力的だ。 「ね、くーちゃんもそう思うよね?」 【登場人物一覧】※2023/6/9追加しました 結城 都(ゆうき みやこ)……高校二年生。平均的なステータスを持つ、ザ・凡人。コミュ力はやや高め。 花森 くるみ(はなもり くるみ)……高校二年生。都の親友。 藤堂 愛菜(とうどう あいな)……高校二年生。元子役で、芸歴はメンバー内で最も長い。ピュアで前向き。 雨車 歌乃(うぐるま かの)……高校二年生。愛菜と同じ芸能事務所に所属している。愛菜に対して友情以上の感情を抱く。 日辻 芽衣子(ひつじ めいこ)……高校一年生。大人しくて引っ込み思案だが、大胆な一面も。 金丸 旭(かなまる あさひ)……高校一年生。体育会系妹キャラ(自称)。一人称は「僕」。 轆轤 奈々(ろくろ なな)……高校二年生。ルックス・能力ともにハイレベルなチート女子。オカルトをこよなく愛する。 神林 八重(かんばやし やえ)……高校三年生。クールで常に孤立している。