そして旅は終わり、物語となった…――
【あらすじ】
辺境宇宙エデル・アデン星域の覇権国家たるミュローン帝国が、突如として星系同盟の自由都市テルマセクを侵攻した。同市を訪問中にこの異常事態に遭遇した星系同盟航宙軍の練習艦カシハラが、同市に留学中であったミュローン皇女を保護したことから物語は始まった。
帝国もまた決して一枚岩ではなく、皇女を廃せんとする『第一人者』の閥と皇女を迎え入れようという王党派に割れていた。
帝国と同盟、双方の動きに艦内が揺れ動く中、王党派との接触に成功した候補生らは皇女を王党派の艦に託し、自らは強大な帝国軍を帝都上空から誘引するための囮となることを決断する。
その目論見の通りに彼らは帝国軍の主力艦を吊り出すことに成功したカシハラは、星系同盟より事態の帰趨を握るべく派遣された航宙軍と共に、強大な帝国艦隊を前に最後の戦いに臨むこととなる。
壮大で長大な遠い未来の宇宙の歴史──。その一エピソードを切り取った七週間の青春群像劇。旅の中で若者たちは成長し、世界はほんの少し変わる。