#記憶 の作品

いつか、俺が俺を好きであるとき
No Image
 交通事故により、家族と、自らの記憶の大部分を失った柏木恵一。失われたものを探しもがく毎日の中で、担当の医師、さくらとの間にほのかな恋心が芽生え始める。満ち足りていく日々のその一方で、恵一は自分が無意識下で綴っている断片的な走り書きが、ことごとく未来を予測していることに気づく。記憶と引き換えに得たもの、それは未来予知の能力なのか? さくらとの「未来」を唯一の目標として、「予測」の通りに行動を起こそうとする恵一だが、シンヤと名乗る男が現れ警告を放つ。やがて、記憶を取り戻し始めた恵一は、自分が「柏木恵一」の記憶の一部のみを与えられた不完全な人格である真実を突きつけられる。そしてシンヤも同じく、人格を構成する一部に過ぎないことを。全ては「柏木恵一」が過去に自らの運転する車に同乗していたさくらを事故によって喪ってしまったあやまちの記憶を消し去るために生み出された存在であることを悟った恵一は、シンヤを味方に引き込み、「柏木恵一」に全ての記憶を蘇らせすべてを背負わせることを決意するが、それは自らの人格を消し去るという決断だった。シンヤと共に「柏木恵一」の一部へと戻る恵一。その一部始終を深層意識の底で傍観していた「柏木恵一」は全ての記憶を取り戻し目覚める。自らの、自らへの「託し」と、さくらへの強い思い、そして自分の母として演技し、記憶の「追体験」をさせ目覚めさせようとした娘めぐみの献身を受け、柏木恵一は娘と共に再び生きていくことを決めるのであった。