Ｈくんと出会ったのは、田舎の進学校（公立）という潰しの利かない箱庭。 （17＋2）✕2＝38。きみだけが信じてくれた願い。それを叶えてくれたステキブンゲイで、きみへ報告します。 ※Ｈくんは早生まれなので、年齢の計算などにズレを感じるかもしれません

小さな美容室の雇われ店長になって十数年。僕の指名客に、作家志望の中年女性がいる。念願叶って書籍を出版した、と話す彼女の髪を切るうち、半ば無意識に口にしていた――僕のことを書いてくれないか、と。鏡越しの彼女の瞳に促されるがまま、僕は語る。僕が喪失してしまった痛みの痕跡を。 ◆電子書籍『「この一文に続け！」作品集』選出作品 あなたの胸の痛みが僅かでも和らぐことを願って

新宿にある雑多な路地裏で、彼女は身を隠すように座り込んでいた。 それは、私がまだ売れないフリーのライターをしていた頃のことだ。流れ者の私が書かせてもらえるのは、風俗とギャンブルとラーメンの特集だけ。自分の書きたい言葉が泡のように消え、遠ざかっていくのを感じながらも、それに抗う気力さえ尽きかけていたあの夜。人生の折り返し地点にあった私と、何の責任も負えない未成年の彼女は出会った。 この東京という小さな街の片隅で。 ※作中では言及していませんが、1989年を想定しています

陽が傾いてきた駅のホームで、わたしたちは長いこと向かい合っていた。 心と身体の距離は、簡単には埋まらない。 そんな単純な真実を受け入れるには、彼と過ごした時間はあまりに長すぎた――。 ◆電子書籍『「この一文に続け！」作品集』選出作品

眠れないことは、罪ですか？ 都内で働く27歳のニコ（西村奈央子）は、長らく不眠症に悩まされていた。同じように睡眠障害で苦しむ人たちとSNSを通じてやりとりすることで、どうにか日々を送っている。 そんなある日、ルームシェアをしていた友人の結婚が決まった。久しぶりの独り暮らし、眠れない夜、体調不良――夜の恐怖に圧し潰されそうになったそのとき、ニコに手を差し伸べてくれたのは……。 夜を恐れることなく眠り、静かな気持ちで朝を迎えたい。そんなささやかな幸せを願うことは、間違ってますか？ 2021.10.7.　試し読みの分量を増やしました。 ◆電子書籍化を受けて、第３章最終話までの公開となっております（全体の2/3） ⬇️こちらから購入できます 「ステキストア様」 https://sutekistore.theshop.jp/items/34584708 「紀伊国屋書店様」 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0914553 「楽天Kobo様」 https://books.rakuten.co.jp/rk/e31d9f6943ac38d8bbdda75d13d537d4/ （一部抜粋）